[洋書書評]妹を愛することがルール My Sister, The Serial Killer

サスペンス・スリラー

最近読んだサスペンス・クライム小説の書評です。

ネタバレにならないように極力注意しています。

英語多読の一環として英語小説を読んでいます。

私が読んだKindle版のデータです。

  • My sister, the serial killer
  • Lyinkan Braithwaite
  • ページ数:242
  • Kindle位置No.2206
  • 出版年:2019/1/3 (初版2017/1/17)
  • 出版社:Atlantic Books

ナイジェリアの作家の”My sister the serial Killer”。ブッカー賞ノミネートとかされてる本で、かなり短いのでサックと読めました。

概要

姉のKoredeは、つきあった男性を殺してしまう殺人鬼である妹のAyoolaをかばいます。姉は病院で看護しをする一見仕事にまじめな普通の女性です。妹とどのように育ってきたか、そして妹がおかす事件に姉が巻き込まれていく様が描かれています。

姉は妹が殺人をおかしているのにかばいます。でもどうしてでしょう。

何で姉は妹をかくまうのか?

えこひいきされる妹

妹はかわいらしくて華奢でみんなにかわいがられます。対称的に姉は武骨なかんじでみんなにうとまれます。二人が育つ家庭では、母親も含めて皆が妹に特別な目を向けるのに対して姉には無関心のように見えます。子供時代母親は妹の手をつなぎ、姉は後ろからついていくのです。そして、成人しても状況は変わっていません。

Mum was holding Ayoola’s hand and I walked behind them.

Braithwaite, Oyinkan. My Sister, the Serial Killer: The Sunday Times Bestseller (p.152). Atlantic Books. Kindle 版.

異性からも目線も妹が一心に受けます。姉はしっかりものだけどみんなの視線を気にして現状維持、変わったことはできないというのは典型的なパターンです。逆に妹はわがままだけどみんなにかわいがられてのびのび生きるという。私には弟がいたので気持ちがすごく分かります。

姉も妹を大事に思っています。不公平なはずなのに姉も盲目的に妹をかばいます。姉は妹にコンプレックスをもっているような描写もみられます。

妹に価値がないなら、自分にはさらに価値がないと思う心理があるのでしょうか。この作品では人物の深い描写はあまりありません。淡々と物語が進んでいきます。それぞれの人物の行動、言動、結果はわかるのですが、その理由は人物の心の奥などははっきり描かれていないのです。

姉を評価してくれる人はいるのです。仕事をしっかりしていることを見ていてくれる人、受け持たれた患者さんは手を抜かない仕事ぶりを評価します。

でも姉の気持ちは妹のことで一杯です。この小説ではみんなが妹を溺愛するというルールのもと人物達は行動しています。

姉もおかしい

姉はまじめで仕事も手を抜かないまともな人でしょうか。殺人者である妹をかばい続けているのです。これは異常なことです。

頭の中が妹を大切に思うこと、守ることで物事を客観的にみることができません。妹以外の人物には冷めた態度をとっています。本人はそのことをあまり意識していません。

みんなおかしい

母親は妹をひいきすることに疑問を持ちません。主人公の姉は、略奪愛を行った叔母のことをあまりよく思っていません。

Some of them are even taking men away from their wives!”

Braithwaite, Oyinkan. My Sister, the Serial Killer: The Sunday Times Bestseller (p.81). Atlantic Books. Kindle 版.

しかし、自分も妹を守ることだけで他のこと考えられない自分のことに気づいていないのです。

二人に接する男性も妹にばかり目を向けます。妹を愛することがこの小説の登場人物の行うことでそこには深い洞察などは欠けてみえるのです。

描写が淡々としている

緊迫感がない

殺された死体を処理したりするのにその説明は淡々としています。死体をあつかう恐ろしさ、おぞましさはありません。

多くの読者もそれを望まないかもしれません。先がどうなるか、小説を読んで陰鬱になりたくはないでしょう。ホラー好きとしては物足りない感じが拭えませんでした。

リアリティーがない

説明が淡々としているに加えて、あまりリアリティーが感じられません。か弱い妹が男性をどうやって殺しているのか、警察につかまらないのか。血の跡がついて気づかれないのか、においにまわりの人間は気づかないのか。死体をそんなに上手く処理できるのか。

She killed him on the first strike, a jab straight to the heart.

Braithwaite, Oyinkan. My Sister, the Serial Killer: The Sunday Times Bestseller (p.8). Atlantic Books. Kindle 版.

180cmを越える男性をひとつき。華奢な女性の仕業じゃないです。

最終的には楽しめる

淡々とした描写で、言葉たらずなところがありますが、逆にいろいろと想像の余地はのこります。姉と妹は殺人についてまわりにばれないのかどうかとか。

英語について

ホラーのモダンクラシックを読むことがおおいので、設定が現代でいろいろ新鮮でした。スマートフォンに加えて、インスタグラム、グーグル、ブログ、ウーバーとか現代テクノロジーについてたくさん出てきます。

“Posting it on Instagram.”

Braithwaite, Oyinkan. My Sister, the Serial Killer: The Sunday Times Bestseller (p.25). Atlantic Books. Kindle 版.

ただ、描写は淡々としているのでそれぞれに深い関わりがあるわけではないのはちょっと物足りない感じがしました。

英語は短く、児童書より読みやすい感じです。サクッと手短に読むにはうってつけで洋書初心者には特にいいかと思います。

まとめ

姉が殺人者の妹を盲目的にかばうストーリーです

淡々とした、逆に言えば簡潔な文体で考えの残る余地があります

サクッと読めて読みやすい手軽な現代小説でした

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