[映画批評] 感染症のパニック映画 Contagion(邦題:コンテイジョン)

映画

小説や映画、漫画のようなフィクションはある意味我々の憧れです。こんなふうになったらいいな、という想像がやがて現実になることもあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が出回るずっと前の2011年に、現在世界で起きていることが予想されていたかのような内容の映画を見つけました。

この映画は非常によくできていて、現実とは違いがありますが現実で起きたことのシュミレーションとしてすぐれています。

コンデイジョン(原題:Contagion)

映画の概要

とあるアメリカの一般的な家庭の描写から映画は始まります。香港からシカゴに立ち寄り帰宅した妻のベスは自宅で痙攣を起こして意識を失い病院に運ばれるます。そして、夫、妻も体調不良を起こします。

原因は、MEV-1というウイルス。強い感染力を持ち、若い人や子供にうつるとたちまつ咳症状を起こし急激に病状が悪くなって死に至ります。疾病予防管理センターの職員は原因究明の調査を行いますが、ウイルスはたちまち全国に飛び火していくことになります。

映画タイトル “Contagion”の意味

映画の題名は”Contagion”です。英単語の”contagion”は医学辞典によれば接触感染の意味ことだそうです。contagionはcon+tagionからなっていて、conはtoやtowarad、つまり何かに対して向かうという意味です。tagionは触れるという意味です。直訳すると接触伝染です。

contagion 接触伝染(病にかかっている人がほかの人と接触してその病原体を伝播することで感染infectionと区別する)

南山堂医学英和大辞典 第12版, Logovista電子辞典

こうしてみると、contagionにはうつるという意味が原義なので、映画のタイトルからは病気自体というよりも特に他人にうつることに重きが置かれている印象です。

くわりく話すとネタバレになるので控えますが、このタイトルはよくできていています。

MEV-1の特徴

両者は、かかると咳がとまらなくなり、人によっては病状が急激に悪くなるというという共通の特徴を持っています。

咳症状と強い感染力

そして人から人へ容易に感染します。アメリカではマスクは病人のものとして、アジアなどと違ってあまりマスクをつけない印象ですが、主人公一家はマスクをつけ他人との接触を徹底的に避けようとします。人から人への接触や、体液、咳などで容易に感染することが疑われます。

急激な症状の増悪

MEV-1は現在流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)より恐ろしいウイルスのようです。冒頭で若年の女性、子供に重症の状態を引き起こし、強烈な印象を視聴者に与えます。

COVID-19でももちろん若年者にこのような重篤な症状、呼吸障害を起こすことがしられていますが、リスクが高いのは高齢者や、糖尿病や腎疾患など基礎疾患を持つ人です。

MEV-1は、若年で健康者にも容易に感染を引き起こす印象です。

恐怖の伝播

一家に突然MEV-1の脅威が襲った後、一家は強い不安と恐怖を味わいます。そして、その恐怖は街中に広がっています。

感染症で最も恐ろしいのは、感染症自体よりも感染症に対する恐怖かもしれません。映画では、このMEV-1ウイルス感染症のせいで街中で暴徒がスーパーに押し入ります。スーパーで物がなくなることでさらに嘆きが広がります。

パニックのせいで公共サービスは麻痺し、隣の家に強盗がおしいり警察に電話をしてもつながりません。ゴミ置き場には、ゴミが残ったままになり、現実では、COVID-19でスーパーに買い占めをする者がたちませんでしたが、映画ではさらに凄惨で街中が荒廃しています。

フェイクニュース

そしてフェイクニュースです。映画の中では、とあるブロガーがウイルスから生還したとしてForsythia(れんぎょう)の効果を主張します。おそらく漢方薬か何かとして使用したということでしょう。そして映画中で結局本人はウイルスにかかっていなかったことが暴かれています。ただ、彼を熱狂的に支持するもの達のおかげで保釈されています。

フェイクニュースですが、現実世界でもクロロキンが効果があるとか、いろいろな憶測が実際にささやかれていました。2020年5月7日のNew England Journal of Medicineという雑誌にでGelerisらはヒドロキシクロロキンが根拠なくCOVID-19に使われており、その効果にはさらなる検証が必要としています。

何も知識がない状態でSNSの情報をみたら多くの人は信じてしまうでしょう。

We identify two categories of interventions: (i) those aimed at empowering individuals to evaluate the fake news they encounter, and (ii) structural changes aimed at preventing exposure of individuals to fake news in the first instance.

Lazer DMJ, etc. The science of fake news. Science. 2018 Mar
9;359(6380):1094-1096. Epub 2018 Mar 8. PMID:
29590025.

SNSがどうやって広がるかはいろいろと議論がされていますが、何らかの安全機構が必要なのは明らかです。ただ、表現の自由との兼ね合いがあり現実としては完全な解決作はだされていません。個人個人のリテラシーを高めること、SNSの読者への提供方法についての改善が望まれています。

近年フェイスブックは投稿内容に関する規定を見直しており厳格化する方針のようです。一方、ツイッターは投稿の編集などについてはより慎重な姿勢を示しています。

救世主ワクチン

英国のジェンナーが天然痘に対して種痘法を発見して以来、ワクチンは感染症予防として重きを置かれてきました。

映画では、ワクチンは4ヶ月強というとても早い時期に完成をみました。死んだウイルスでは効果が望めず危険性のより高い生ワクチンが開発されたのでした。人々は、感染が落ち着いてから開発されたと皮肉を述べています。

現実でもワクチン開発が急がれますが、安全性の確認には時間を要するでしょう。とても映画のペースでの開発は無理です。

陰謀論

現在ウイルスの出所は明らかでない点があります。映画でも、香港由来が疑われていますが、しかし感染源の特定については慎重な捜査が必要であることを暗示しています。

日本などの先進国は別ですが、他国ではウイルスは特定のだれかが作り出したことを多くの国民が信じている国もあるとのアンケート結果を最近の2020年6月3日の英国The Economist(Fake news is fooling more conservatives than liberals. Why?)でだしていました。

ウイルスの出所については、大国同士で責任を押しつけある絵図などみられます。映画では、そこまで詳しくは出されていませんでした。フェイクニュースと同様、情報を受けてる我々にはより一層の注意が必要です。

まとめ

Contagion(邦題:コンテイジョン)は感染症について考える上で、いろいろな考えるヒントを与えてくれます。

感染症についての専門的知識、英語などもでてきますので興味があるかたにはいろいろと得るものがあります

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